April 29, 2008
王者 vs 挑戦者
「何故か気になるんだよなぁ」
キリンビール vs アサヒスーパードライ、ドコモ vs au、六本木ヒルズ vs 東京ミッドタウンなど、競合環境にある企業、商品はいつも注目されます。
かつてのホンダ vs ヤマハのスクーター戦争などは、様々なメディアで取り上げられたものですね。
両者の異なる戦略、それがもたらす結果、そして何よりそこにはストーリーがあるからではないでしょうか。
今でも語り継がれる大ブランド戦争と言えば、『ペプシチャレンジ』。
1975年〜1983年に米国で展開されたキャンペーンですので、若い方には馴染みがないかもしれませんけど。
しかし、このキャンペーンによって、ほぼ半分であったペプシのシェアはコカ・コーラ(以下コーク)とほぼ同じレベルまで急迫したんですから、驚くべきキャンペーンです。
このキャンペーンのアイディアは、ダラスの小さな広告代理店がグループインタビューの際に行ったコーラ飲料の目隠しテストから産まれたと言います。
参加者目隠しをしてもらい数種類のコーラを飲ませると、70%の人がペプシを選んだのです。
驚いたのはテストをされた参加者。
まさか自分がペプシを選ぶとは思っていなかったんでしょうね。
その時、ひらめいた!
「これをキャンペーンにしちゃえばいいんだ」
これが、ペプシチャレンジの始まり。
黄色のベースに赤い文字で「Take the Pepsi Challenge!」と書かれたロゴが、キャンペーンの目印となります。最初はマスコミも疑った。
だって、当時ソフトドリンクの消費者のうち18%がコークしか飲まないと答え、ペプシしか飲まないという人は僅か4%という市場だったんですから。
最初は、米国の南西部にあるテキサス州ダラスだけで行われたエリア限定のキャンペーン。
ダラスで展開されている間は、インターネットもない当時、大きな話題になることもありませんでしたが、ロサンゼルスでキャンペーンがスタートするとコークが巨体を揺り動かします。
ペプシの主張が事実無根だと提訴したり、目隠しテストでペプシに付けたMとコークに付けたQというラベルが心理学的に答を誘因しているとか。
さらに、ペプシチャレンジを中傷するCMまでオンエアし始めます。
いわゆる”いちゃもん”をつけた訳です。
これがいけなかった。
コークは、今まで全く敵とも思っていなかったペプシを、同じ土俵に上げてしまったことになります。
仕掛ける側と応戦する側、徐々にシェアを詰める側とにじり寄られる側、この構図が面白くないはずがありません。
こうなると、マスコミの格好の餌食。
コーラ戦争に誰もが注目し、その行方を見守るようになります。
さらに、全米で消費者が自らペプシチャレンジにトライするようになる。
こうなると、ペプシ側も勢い付いちゃう。
黄色ベースに赤文字ロゴのペプシチャレンジTシャツを販売員が着たり、ペプシチャレンジ用ボトルハンガーをペタ付けしたり、ペプシチャレンジブースをあらゆる所に作ったり。
8年間に全米で2500万人がペプシチャレンジにトライしたと言われます。
その勢いは全世界に波及し、日本でも1980年代後半に、「くらべて決めよう。あなたのコーラ。」というキャッチでペプシチャレンジが展開されました。
全世界の消費者が自ら参加したキャンペーンなんて、他にあるでしょうか。
このコークにとっての大失敗は、後に新製品ニューコークの開発へとつながります。
ちょっと甘い、つまりペプシの味に近いコークを作り、そして失敗を重ねてしまう。
消費者は、コークというブランドに対する気持ちを踏みにじられたような気がしたんですね。
ペプシチャレンジのアイディアは、とてもシンプルなものです。
それが全世界を巻き込む大キャンペーンとなった理由は、ただひとつ。
王者 vs 挑戦者という構図により、誰もが知りたいトピックスになったということです。
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◆アイデアを生むヒント
アイディアは、誰もが知りたいコンテンツとなった時、勝手に広がり始める。
自分だけで頑張るのではなく、敢えてライバルとの対立構造をつくることで注目を集めることができる。
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◆編集後記
勝ちT当たりました。
KIRINのサッカー日本代表キャンペーンの賞品ですね。
着るかと言われれば着ないでしょうが、送られてくれば嬉しいかも。
そう言えば、かなり昔に同じKIRINのマリナーズキャンペーンで、自転車が当たった時があったっけ。
その時は、驚きましたね。
いや、別にキャンペーンマニアじゃないですよ。
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◆What's New!
2009年4月に、東北芸術工科大学デザイン工学部教授に就任(兼務)することになりました。

